外貨両替にみる算術平均と調和平均 【往路40バーツ復路30バーツの謎】
チェンマイの両替所でのこと。
いくら替えるか決める前に2万円が何バーツになるか知りたかった。1バーツがほぼ3.5円とわかっていたので、この3.5円で暗算を試みる。
すぐに思い浮かんだのは半分の1万円に3円、もう半分の1万円に4円のレートが適用されると考えれば、2万円を3.5円で両替するのと同じだなという発想で、
1万円 ÷ 3 = 3,333バーツ
1万円 ÷ 4 = 2,500バーツ
よって、計5,833バーツくらいだろうと見積もり窓口へ。
するとそこには100円 = xxバーツの形式で表示されたボードがあり、これだと2万円ならxxを2倍してゼロを2つ付けるだけでよく簡単だ。ところが、その方法で求めた値は5,833バーツよりも少ない。あれ? レートが動いたのかなと思い、カウンターに備え付けてあった計算機を使って最初の1バーツ3.5円の方からも試すと当然ながら
2万円 ÷ 3.5 = 5,714バーツ で、やっぱり変だ。
暫くは混乱してわからなかったが、もちろん最初の発想が誤っている。
Q.車で往路30km/h、復路40km/hで走行したとき、全体で平均時速は何km/hか?
A.(30+40)÷2 = 35
というのも同じ勘違いだ。正しくは、距離を1kmとすれば、
往路の時間:1 ÷ 30
復路の時間:1 ÷ 40
したがって、全体の距離 (1 + 1) ÷ 全体の時間(1/30 + 1/40) = 平均時速 (34.29)となる。
上記のように求めた平均を調和平均と言い、逆数の平均の逆数を指すらしい。
(1バーツ = )3円と4円の調和平均は、まず(1円 = )1/3バーツと1/4バーツの算術平均を計算し
(1/3 + 1/4) ÷ 2 = 7/24 = 0.292(バーツ)
これをさらに逆数にして24/7 = 3.429(円)
先の5,833バーツは2万円をこの1バーツ = 3.429円のレートで替えたときに渡される額で、調和平均と算術平均を混同したのがまずかった。
ちなみに、例えば毎月1万円の定額でバーツを買い付ける積み立て(ドル・コスト平均法)の場合、一定期間経ってから1バーツを平均何円で買ったのか知るには、「支払い済みの円の総額÷買い付けたバーツの総額」でわかるが、各時点での「1バーツ = xx円」の調和平均を求めてもよい。
ところで、サブタイトルの「往路40バーツ復路30バーツ」だが、これは単なる個人的な経験で両替とは関係ない。都市を基点にその郊外を同じ交通機関を使い日帰りで往復するときなどに、何故か復路の方が運賃が少し安いことがしばしばあるのが不思議だという話。往路と同額の料金を復路で渡すといくらか返されるのだ。
往路が山登りで復路が下りのように所要時間が違うならわかるが、そうではない。往路で吹っ掛けられた可能性が高いが、いつも往路だけなのもおかしいので、謎になっている。
この場合の片道平均費用は単純に35でよい。